バーチャル領域の専門企業「株式会社Mogura」のWebマーケティング総合支援。多事業展開を支える戦略設計と伴走体制を構築した4年の歩み

千葉一生 久保田瞬様

語り手

株式会社Mogura
代表取締役社長 Mogura VR編集長 久保田瞬様

聞き手

ワンバース株式会社
代表取締役 千葉一生

XR(VR/AR/MR)/メタバースのメディア、コンサルティング、開発サービスなどを手掛けるMogura様。 同社が注力しているのは、自社メディアを活かしながら、法人向けコンサルティングサービスやイベント・ECなど多角的な事業展開を推進し、XR業界全体の発展に貢献することです。

ワンバースは2021年7月より、法人向けコンサルティングサービス「Mogura NEXT」を中心としたBtoBマーケティング基盤の強化に加え、UI/UX改善、広告運用、SEO支援を実施、メディア・EC・イベント・求人領域も含め、支援領域は多岐にわたります。 代表取締役社長の久保田様にワンバースの支援で得られた成果や感想をインタビューしました。

あらためて貴社のサービスについて教えてください。

久保田:

株式会社Moguraは、XR・メタバース・VTuberといった“バーチャル領域”に特化した事業を展開しています。 自社メディア「Mogura VR」「MoguLive」の運営をはじめ、リサーチ・コンサルティングや開発支援、業界最大級のカンファレンス「XR Kaigi」の主催など、バーチャル領域のビジネスを多角的に支援しています。
私たちは「バーチャルの力で、豊かな体験を社会に広げる」というミッションを掲げ、 2016年の創業以来、XR業界の成長と社会実装に取り組んでまいりました。

会社ホームページ:https://mogura.co/

Mogura VR:https://www.moguravr.com/

Mogura NEXT:https://mogura.co/moguranext

XR Kaigi:https://www.xrkaigi.com/

Mogura VR Store:https://moguravrstore.com/

弊社へご依頼いただく以前の課題について教えてください。

久保田:

弊社は、もともと「Mogura VR」というメディアを創業事業としてスタートし、メタバースやVR領域におけるリーディングメディアへと成長しました。 メディア事業の枠を超えて、業界全体を盛り上げるために、企業支援としてのコンサルティングや開発も本格化させたいと考え、2018年に「Mogura NEXT」という法人向けサービスを立ち上げました。

当初は形からということで支援ツールを契約するなど、一定の投資を行ってマーケティングに取り組んでいましたが、事業フェーズに比べてやや背伸びした体制になってしまっていたと感じています。 また、弊社はメディアの印象が強く、「コンサルや開発もやっています」と伝えても、お客様にとっては少し距離を感じるケースもありました。中立性を保つメディア運営の性質上、「1社に肩入れしないのでは?」という印象を持たれることもあり、法人向けサービスのブランディングに課題がありました。

千葉:

まさに、Mogura様ならではの課題ですね。メディアとしての強みがある一方で、その印象が“支援事業とのギャップ”になっていたわけですね。

久保田:

さらに、自社にメディアがあるからこそ、それをどうマーケティングに活用すべきか。他社が実践しているPRや広告施策を、自社にどう応用すればよいのか。 実際、当時はペライチで作った資料DL用の簡易LPを活用していましたが、立ち上げを優先したものであり、戦略的な設計や改善余地が多く残されている状態でした。

そのあたりの判断を社内だけで進めるのは難しくなってきており、まずは外部からの視点で評価・アドバイスをいただきたいという思いがあり、千葉さんにご相談したのが始まりでした。

久保田瞬

弊社へご依頼いただく上で決め手を教えてください。

久保田:

ご紹介というリファラルでのご縁があったこともあり、もともと一定の信頼感はありました。

初回の打ち合わせで印象的だったのは、オンラインマーケティングのファネル図などをもとに、弊社が体系的に理解できていなかった“基本的な構造”を丁寧に整理してくださった点です。そのうえで、弊社特有の課題についてしっかりヒアリングいただけたのが大きかったです。

弊社は、SEOを強みとするメディア事業を出発点に、複数の事業に展開している構造でして、ビジネスモデルもやや複雑です。事業の背景にある価値観や社会的意義も含めて、きちんとくみ取っていただきました。 一緒に走っていくパートナーとして、どれだけ事業理解を深めてくれるかは非常に重要でしたが、ミーティングを重ねる中で、その点も安心感を持ってお任せできると感じました。

また、「Mogura NEXT」だけでなく、製品販売、イベント運営、求人事業など、Moguraが展開する他の領域にも柔軟にご支援いただけた点も、非常にありがたかったですね。

千葉:

メディアを起点に、多様なビジネスを展開されています。

久保田:

弊社は社員数10名ほどの小規模な体制ですが、XRやメタバースといった領域は市場変動が大きく、上がり下がりの波も激しいため、自己資本での運営という事情も踏まえ、サバイブしていくために事業の多角化を図ってきました。

とはいえ、各事業のビジネスモデルはそれぞれ異なり、それらをどのように組み合わせて、相互にシナジーを生み出していくかは大きな課題でした。 各事業が独立して収益を上げられる構造である一方で、「同じ会社だからこそできる連携の仕方」があり、その最適解を一緒に考えていただける方を探していたんです。

千葉:

ビジネス構造に応じて柔軟に動く必要があるのは、よくわかります。

久保田:

千葉さんは、非常に広範なビジネス経験をお持ちで、どういった事業モデルにどう向き合うべきかという視点を持たれており、その点が弊社の状況にマッチしていたと感じています。

Webサイトのリニューアルでは、UI/UXの改善に取り組み、A/Bテストも交えてブラッシュアップを進めました。また、メディア経験のある方をアサインいただいたり、イベントの記録映像をブランディング活用するために、カメラマンやクリエイターの方をご紹介いただいたりと、柔軟にご対応いただきました。

弊社のように多様な領域を展開している企業に対して、必要なタイミングで適切なパートナーを巻き込んで対応いただける柔軟性やネットワーク力は、大きな安心材料でした。

千葉:

私自身、これまでに200人・社以上の方々とパートナーシップを築いてきた経験があり、そうした中で信頼できる専門人材とのネットワークを構築してきました。

ご一緒した中で、Mogura様の強みや事業特性も理解できましたので、最適なパートナーと体制を組む際にもその“らしさ”が活きるよう意識してご支援しています。 こうした点は、弊社の特長でもあると感じています。

久保田:

マーケティングは非常に幅広い領域だと思いますが、千葉さんの場合、ご自身だけで完結するのではなく、必要に応じて適切なパートナーを巻き込むことで、対応領域がどんどん広がっていく。その柔軟さやフィット感が、弊社にとってとても合っていたと感じています。

これまでは事業ごとに個別に人を探していましたが、千葉さんとご一緒するようになってからは、「まず千葉さんに相談すればいい」と思えるようになりました。ワンストップで相談できる安心感は大きかったです。

千葉:

私たちのような業界は、大手代理店から小規模な事業者までさまざまありますが、多くの場合は“会社全体”の体制で語られることが多いんですよね。

ただ実際の現場では、「誰が担当するか」によってサービスの品質は大きく変わってくると感じています。これは、士業にも似ていると思っていて、どれだけ大きな看板があっても、担当者によって成果はまったく違う。

弊社はあくまで、私自身が主体となっている会社です。マーケティング領域の幅広い実務経験をベースに、お客様ごとに最適なパートナーを組み合わせながらご支援しています。その点が、他社にはない強みだと考えています。

千葉一生

Mogura NEXT(コンサル開発ビジネス)からプロジェクトが始まりました。開始後の印象を教えてください。

久保田:

実際にご一緒してみて、「足りていなかった部分が本当に多かったな」と実感しています。 そうした中で、プロジェクトゴールに対し、毎回クオリティの高いアウトプットで応えていただき、非常に助けられました。

特に大きかったのは、BtoBマーケティング領域、「Mogura NEXT」へのご支援です。 初期フェーズの段階で、数多くの課題を指摘・整理していただきました。こちらの社内リソースで処理しきれないほどの改善点を挙げていただいたことが、逆にありがたかったです。

千葉:

そう言っていただけて嬉しいです。課題が明確になると、社内でも次の動きが取りやすくなりますよね。

久保田:

やるべきことが見え続けている状態は、むしろ健全だと感じています。 私たちがいるXR・メタバース業界は、止まったら終わりというぐらい変化が激しい。常に動き続けなければいけない中で、「考え続けるテーマ」があることは、むしろ必要なことだと思っています。

千葉さんには、そうした“常に思考と改善が求められる感覚”を共有いただきながら、提案を続けていただいたことが、とてもありがたかったです。

Mogura VR(メディアビジネス)へのご支援はいかがでしたか?

久保田:

メディア側でもA/Bテストをサポートいただきましたし、とりわけ記事広告の改善支援はとても印象に残っています。 それまで私たちは「広告主が求めるPVをどう達成するか」に注力していて、広告記事はあくまで“期待される露出”を満たすものという意識が強かったんです。ですが、実際は広告記事は内容のコントロールの都合上、通常の記事よりも読まれにくくなる傾向があります。

千葉:

読者の自然な興味を損なわずに、広告主の意図を届ける。その設計が一番難しい部分ですよね。

久保田:

そうした中で、千葉さんにご提案いただいた施策によって、流入がしっかり獲得でき、成果が出るようになりました。クライアントにも説明しやすくなり、結果的に満足度も高まっていると感じています。

私たちのようなニッチ領域のメディアでは、SEOやマーケティングの視点と、業界理解の両方を兼ね備えている支援者は本当に貴重です。行間を読み取りながら施策に落とし込んでいただけて、とてもありがたいですね。

千葉:

ニッチ領域であっても、熱量のある読者が多いメディアだからこそ、うまく届ければしっかり成果につながると感じていました。

久保田:

また、少し話が広がりますが、弊社は社員数が少ないにもかかわらず、事業を明確に分けていることもあり、どうしても縦割り構造になりがちです。 たとえば、XR KaigiとMogura VRの連携なども、以前はうまく機能しておらず、社内で「メディアをもっと活かせるのに」という課題感がありました。コロナ禍でのフルリモート体制も影響していたと思います。 昨年あたりからは出社を増やし、部署間の連携強化に取り組んでおり、イベントプロモーションなどもだんだん改善されてきました。

今後は、コンサルや開発のプロジェクトから生まれたコンテンツや知見を、メディアで発信し、さらに広告運用と連動させて広げていくような“全体設計”ができると考えています。 自社メディアを活かしながら、LPやPR、広告運用までを一気通貫でつなぐ提案を、千葉さんのような専門家と一緒に設計できるのは、Moguraならではの強みになるのではと思っています。

千葉:

引き続き、事業とメディアの強みがよりシームレスにつながるよう、伴走させていただきます。今後の展開も楽しみにしています。

ニンジャマスク等の物販(EC事業)へのご支援はいかがでしたか?

久保田:

EC領域では、Amazon、Yahoo!ショッピング、楽天市場の広告運用やクリエイティブ制作をご支援いただいています。 この分野は日々仕様やトレンドが変化するため、正直、自社だけではキャッチアップしきれない部分も多く、千葉さんに頼らせていただいている状況です。

現状、ECストアにショップを構えつつ、いわゆる「注文が入ったら発送する」といったベーシックな運用を回しています。 中長期的にアップサイドを狙っていくような戦略や、攻めの体制もまだ整っていないため、実際の広告運用も含めて支えられています。

▽ニンジャマスク 動画クリエイティブ制作事例(ワンバース制作)

ニンジャマスク 動画クリエイティブ制作事例(ワンバース制作)

YouTubeリンク先:https://www.youtube.com/watch?v=ZZW5gNU3HfU

XR Kaigi(イベント事業)へのご支援はいかがでしたか?

久保田:

XR Kaigiでの動画制作に関しては、クリエイターさんが非常にクオリティの高い映像を作られる方で、お願いして本当に良かったと思っています。 レポート動画に関しても、ただ記録を残すだけではなく、視聴者が「おっ」と目を引くような、ブランディングにつながる仕上がりを求めていたのですが、その期待にしっかり応えていただけました。人選のマッチングという意味でも、非常に満足度が高かったです。 制作していただいた映像のクオリティは、まさに“ピカイチ”でしたね。「良い動画を作りたい」となったときに、まず相談しようと思えるクオリティです。

実は、動画クリエイターとの接点はあまり多くなく、どちらかというとVTuber系の方など、ジャンルが異なる方に偏りがちでした。 今回のように、しっかりと映像制作のプロフェッショナルとして対応いただける方に入ってもらえたことは、非常に心強かったです。

▽XR Kaigi 2022ダイジェスト動画制作事例(ワンバース制作)

XR Kaigi 2022ダイジェスト動画制作事例(ワンバース制作)

YouTubeリンク先:https://www.youtube.com/watch?v=8jK0jDCoqnM

千葉:

弊社側の強みである「適切な人材とのマッチング力」が活きた部分かなと感じています。

久保田:

あらためて振り返ると、本当に幅広い領域をご相談させていただいてきたなと感じます。 何かのきっかけでご一緒し、プロジェクトが進行していく中で、特に「依頼側の立場が上の人」ほど、他の事業や経営にまつわる課題がどんどん出てくることってあると思うんですよね。 そうしたときに、「これって誰に相談すればいいんだろう?」と社内で難しい判断を迫られる場面があります。でも、いざ外部の人に頼るとなると、誰でもいいわけではない。そういうときに、“何でもできる”安心できる人が定例ミーティングなどに入っていると、「とりあえず相談してみようか」と自然に思えるんです。

最初のきっかけは小さなものであっても、プロジェクトが動いている中では、その人の存在が徐々に浮かび上がってきて、「何でも相談していいんだ」と感じられるようになる。 そうなると、自然と相談の範囲が広がっていくんですよね。いつの間にか、お願いすることが増えていって…という流れになる。良い意味で、気づけば、自然と頼れる存在になっていましたね。

成功事例を教えてください。

久保田:

BtoB領域に関しては、認知度の向上と、資料ダウンロード数の可視化が進んだことが大きな成果でした。 もともとは、数字をほとんど取れていない状態だったのですが、プロジェクトを通じて指標を設定し、数値を可視化しながら改善に取り組むというサイクルがまわるようになりました。

結果として、資料DL数が明確に増えていました。こうした基本的な取り組みも、自分たちだけでは手をつけにくかった部分であり、実行を後押ししてもらえたのは非常にありがたかったです。

千葉:

数値の可視化により、課題や打ち手も具体的に議論しやすくなりますよね。

久保田:

LPに関しては、千葉さんからの具体的なアドバイスをいただきながら改善を重ねていき、かなりわかりやすく説得力のあるページに仕上がったと思っています。 実際に、LP経由で資料をDLされた企業様の中から成約に至った案件も出てきており、成果としてもしっかり数字が出てきました。トレンドが変わってきたので、さらにLPのリニューアルをご相談しています。

千葉一生 久保田瞬様

ワンバースの強みについて教えてください。

久保田:

千葉さんは、施策のアイデアだけでなく、人的ネットワークも豊富で、その引き出しの多さが非常に頼もしいと感じています。さまざまな領域で事業を展開している弊社との相性も良かったのではないでしょうか。

また、弊社の事業領域に強い関心を持ってくださったのも印象的でした。VRのように、一般的にはまだ得体の知れない分野に対しても、関心を持って取り組んでくださった。その姿勢は千葉さんご自身の特性だと思いますし、「定型的な手法を当てはめる」ような進め方ではなかったと思います。

マーケティングが一筋縄ではいかないジャンルでもありましたが、そうした難しさも理解してくださった上で、一緒に悩みながら並走していただけた。この「悩みを共有できる関係性」は、伴走していただく上でとても大切なポイントだったと思っています。

最後に、どのような企業がワンバースのサービスと合いそうでしょうか?

久保田:

小規模な組織や、新規事業に取り組んでいる企業にとっては、ワンバースさんのような存在は非常にありがたいのではないかと思います。 「決まった型で対応する」のではなく、むしろ“これからどうマーケティングに取り組んでいくか”という、模索段階にあるフェーズの企業と相性が良いのではないでしょうか。 大企業であれば、社内にいろいろなリソースを持っているかもしれませんが、規模が小さい企業はその分、小回りが利く柔軟さやスピード感が求められます。その点で、相談しやすさや、依頼しやすい金額感を含め、千葉さんご自身の動きも含めて、とても頼もしい存在でした。 機動力のある伴走者を必要としている企業や、中小企業、スタートアップなどには特にフィットするのではないかと思います。

また、課題の全体像を把握できる立場の方がクライアント側にいらっしゃると、より効果的に進められるとも感じています。今回のプロジェクトで言えば、私自身が経営視点を持って関与していたからこそ、各領域の課題や背景を俯瞰して捉えることができました。 逆に、部門が明確に分かれているような企業で、特定領域しか担当されていない方の場合は、他部署の課題にまで目が届きづらく、「そもそも何が課題なのか」が共有されにくい側面があるかもしれません。

千葉:

おっしゃる通り、全体像が見えている方が関わってくださると、こちらからの提案の精度や広がりも増しますし、弊社としても一層力を発揮しやすくなります。

久保田:

あとは、地方の企業もワンバースさんと相性が良いのではないかと思います。 最近では、地方創生の文脈でスタートアップを立ち上げる企業や、スモールビジネスから着実に成長している企業も増えています。若い世代の経営者が地方で活躍するケースも増えてきました。 ただ、私たちのような領域においては、都市部と地方で明確な情報格差が存在します。たとえば東京の企業が取り組んでいる施策と、同じ業界の地方企業の施策とでは、スピード感や知識量にギャップが生まれてしまう。

マーケティングの領域でも、情報を探せば出てくることは多いものの、「周囲で誰もやっていないから、そもそも何をやるべきかに気づかない」といった状況が、地方では起こりやすいと感じています。 そうした意味でも、地方の企業には大きなポテンシャルがあると思います。売り先は東京だったり、全国だったりする中で、地方からでもしっかりとマーケティングを整えれば、チャンスは十分にあると感じています。

久保田瞬様
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